欧米メディアの注意を引くことは、ここ5年くらいで隣国の中国に奪われる形で圧倒的に減っただろうと思われる日本。それでも世界に名だたる日本女子や独特のユース・カルチャーの動向はまだまだネタになるのかな。ということで、今日のNY Timesに掲載された記事。Young Japanese Women Vie for Once-Scorned Job
NY Times
最近は以前より多様なバックグラウンドを持つ女の子が、ホステス(キャバ嬢)として働くことを希望しているとのこと。驚きのエピソードは、ホステスとして働く女の子のリクルーティング、つまりキャッチが女の子が親と一緒にいる場合でも成功する例が出てきたということ。これまた驚きだけど、女子高校生1154人を対象とした今年の調査で、人気の職業40種の中でホステスは12位になったんだって(公務員18位、ナース22位)。この人気は本物と言ってよいような気がします。
簡単に年収1000万、うまくいけば年収3000万超。同年代の女性派遣社員の10倍に相当するらしい給料は、たしかに魅力的だけど、たぶん女の子をひきつけているのはそれだけじゃない。まずは、なんとなくクリエイティブなイメージ。ホステスあがりの女性がビジネス書やノベルなどを出版してヒットしたり、アクセサリーやファッションブランドを立ち上げたり、衆議院議員になってたり、世間では元ホステスの人たちのいろんな成功例が注目を集めている。たしかに、ホステス業を、自営業的成功への踏み石として考えてお金を稼いだり人脈をつくってる女の子もいると思うけど、イメージ向上はそれだけでは説明がつかないような気が。
そんな風に考えたら、記事に出てくる”independent”って言葉が気になった。ホステスのイメージでクリエイティビティより強く浮かぶのは、たぶん世知に長けたしたたかさだと思う。夜の街を颯爽と歩いて、客の誘いを体よく断って、同僚たちとの微妙な競争関係や友人関係の中で綱渡りで手にするランクや高収入が裏付けるのは彼女たちの確固たる”independence”なのかもしれないなぁって。そのプロセスって、ある種の典型的な「成人の儀式」だし、過酷な労働条件やスケジュール、それと対照的な華やかな衣装や店の内装は儀式をロマンティックに仕立てるのに十分。大人の女とか、独立したいい女への修行として、キャバ嬢を通過することを選ぶ女の子もきっと多いんだろう。
一方で、「ホステスとして高収入を得られるのは若いときの10年くらいだけ」という女子高校生のセリフは、投資銀行への就職を希望していた、とても意欲的な数人の知人を僕に思い出させた。10年ももたないかもしれないけど、10年やる気で死ぬ気でがんばれば、あとは人生好きなことを楽しくやっていける、そんなことを彼ら彼女らは言っていた。そこの人生観はエリートとホステス本気志望の女子高生でほとんど違いがない。厳しくて、世知辛そうな世の中を一気に走りぬけて、突き抜けて、お金やあるいはステータスという自由の切符を手にすること。それはたぶん、何かと閉塞感ただよう今の時代、最もクールなライフスタイルの一つなんだろう。
それにしても、これが記事になるのは、先進国でこんな国がないからなんだろうなぁともつくづく思います。たぶん考えれば考えるほど、僕らの、私たちの世代と社会についてこじつけられそうな良い記事でした。



